背中を曲げた市川の顔が、私の耳のすぐそばにくる。
徐々に距離が縮まっていく────と、その時。
「だからお前ら、近いって」
三咲の、呆れた声がした。
同時にパッと市川が離れたのを感じる。
パチパチと瞬きを繰り返すと、その合間に見えるのはなんだか余裕のない表情の三咲。
「……ごめん。チカちょっと、雨宮と2人にして」
小さく言葉を紡いだ三咲に、私の胸はドキッと音を立てた。
「わかった〜。じゃあまた、学校でね」
いつも通り軽い調子でこちらに手を振って、市川はくるりと方向を変える。
「絃ちゃん、さっきの話知りたかったら、いつでも聞いてね」
去り際に振り返ってそう言い残した市川を、三咲は不服そうな目で見送った。
