雨降り王子は、触りたい。




「ごめん」

「私の方が……ごめんなさい」



空では鱗状の雲がゆっくりと流れていく。



「……なんか、すっきりした」



萌絵ちゃんはそう言うと、綿菓子みたいに優しく笑った。

それは今まで見たどの笑顔よりも、1番かわいかった。



私は最初、三咲は萌絵ちゃんを想ってるって勘違いしていた。

そうだとしたら私の三咲への気持ちは迷惑なだけだって、全部忘れようとして。

だけどそれってきっと、"逃げ"だったんだ。

本当は自分が傷付くのが怖かっただけなんだ。



なんだか萌絵ちゃんは、さっきまでとは別人みたいにキラキラした目をしていて。

自分が、小さく思える。