雨降り王子は、触りたい。




「ねぇ。脅されるのってどんな気持ち?」



いつも笑っている市川の真顔は、それはもうものすごくおっかなかった。

向けられているわけではないのに、私までゾクリと背筋が凍る。

周りの喧騒とは裏腹な、沈黙。

石畳の地面を、カラカラと落ち葉が通り過ぎていく。



物騒な表情の市川を前に黙り込んでいた萌絵ちゃんは、ぎゅうっと細い指を握り込んだ。



「だって………好きなんだもん」



ぽつりと、落とされたのは想定外のタイミングでの告白。

萌絵ちゃんは意を決したように立ち上がると、まっすぐに三咲と向かい合った。



「留衣くんのこと、ずっとずっと好きだったの!なかなか言い出せなかったの……っ」



どくん……。心臓が揺れる。