雨降り王子は、触りたい。




よ、よかった……。

私は胸を撫で下ろした。



萌絵ちゃんの腕を掴む市川はいつも通り、緩い笑顔を浮かべているけれど。

……多分めちゃめちゃ怒ってる。

目の色がなんか、すごい黒い。



「別に、落ち着いてますけど」



掴まれている手を振り払った萌絵ちゃん。

刺すような目を市川に向けているものの、市川は笑顔を崩さない。



「ねぇ萌絵」

「………なによ」



市川は、おもむろにポケットからスマホを取り出した。

そして。



「これ、なんだ?」



画面を萌絵ちゃんに突き付ける。