雨降り王子は、触りたい。




今にも触れそうな距離に、三咲の肩はびくっと揺れる。



まさか人がたくさんいるこの場所で、三咲に触れる気!?

立ち上がろうと、私はベンチに手を付き腰を浮かせた。



─────しかしそれは、少し遅かった。



「私を怒らせないでって」



萌絵ちゃんの伸びた手は、三咲の肩に触れた。

三咲は避けることなく、潤む瞳で萌絵ちゃんを睨みつける。



「ちょ、」



三咲に触るな、と言おうとした瞬間。

萌絵ちゃんの手は、それまで黙って立っていた市川によって引き剥がされて。



「萌絵?一旦落ち着こっか」



怒気を含んだ声が放たれる。