雨降り王子は、触りたい。




そこは、駅近くの広場だった。

大きな時計が真ん中に聳え立ち、辺りには花壇やベンチがいくつか並んでいる賑やかな広場。

待ち合わせによく使われているこの場所で、市川は私と萌絵ちゃんをベンチに座らせた。

それでも、沈黙は続いて。



………やっぱ、気まずい!

と、視線を足元に下ろした時だった。



「────もう政田の言いなりにはならない。それを言いにきた」



三咲の声が鼓膜に触れる。

反射的に顔を上げると、そこには鋭利な目を萌絵ちゃんに向ける三咲がいた。



「………へぇ。そんなこと言うんだ」



萌絵ちゃんは低い声でそう言うと、座ったばかりにも関わらず立ち上がり、三咲と目線を合わせる。

そして──────



「…っ!」



三咲に向けて、まっすぐに手を伸ばした。