雨降り王子は、触りたい。




いよいよ次は、私たちの順番。

目の前には、白に塗られた木製の扉が立ちはだかる。

速くなる心音。高まる緊張感。

─────すると。



「次にお待ちのカップル様〜」



よく通る、高い声が響いた。

柔らかそうな髪が、扉から覗く。

現れたのは、相変わらずアヒル口が可愛い萌絵ちゃんだった。

いいタイミングで出てきた……!



「えっ」



萌絵ちゃんは、先ほどより少し低い声を落とす。

私に気付いた様子の萌絵ちゃんは、一瞬固まったものの。



「………絃ちゃんだ。久しぶり〜」



すぐに切り替えて、営業スマイルを振りまいた。

しかしその笑顔も、すぐに崩れることになる。