雨降り王子は、触りたい。




「さっすが赤髪の絃!立候補とかやるぅ〜」



そう言いながら、嬉しそうに手を叩くクラスメイト。

…もう、行くしかない。



「なにその通り名みたいなの。初めて言われたんだけど」



私はそう言うと────



「…………えっ、絃!?」



─────クラスメイトの驚く声さえも置き去りにして、瞬間移動の如く教室を後にした。



私の思いついた作戦は、こうだ。

クラスメイトたちより先に三咲に会う。
そしてこの悪ノリのことを伝えて、どうにか回避してもらう。

結果、三咲に丸投げのような気もするけれど。

幸い、足の速さだけは自信があるから。
先手必勝だ。