雨降り王子は、触りたい。




「中学に上がるタイミングで、萌絵は引っ越してったんだけど。まさか、こっちに戻ってきてたなんて」



……笑いたくない。
なのに俺はまた、誤魔化すようにへらりと笑顔を作っていて。

本当に自分が、嫌になる。



「……俺のせいだよ。」



だけど今は笑っていないと、泣いてしまいそうなんだ。

俺が泣いてる場合なんかじゃないのは、わかっているけれど。



「……これ」



ぽそり、小さな声が鼓膜を揺らす。

すると絃ちゃんは人差し指を立てて、あるところを指さした。

俺は追うようにして目をやる。



そこにあったのは"秋季限定モンブランプリン"と書かれた卓上のポップ。

字の下には、たっぷりのクリームが乗った栗色のプリンの写真が載っていた。