雨降り王子は、触りたい。




「市川の…せい……?」



半分放心状態の絃ちゃんに、俺は説明した。
あの日の出来事を。

ほんとに俺は、バカだったと思う。

人が嫌がることはしちゃだめなんて、小学生でもわかることなのに。



留衣はよく、俺のことを"優しい"と言ってくれるけれど。

違う。俺は優しくなんかない。

後ろめたい気持ちに蓋をするように笑顔を張り付けて、ヘラヘラしてるだけだ。



「────それで、2人がキスしてしまった時。教室にはみんないて。当然、注目の的になってしまって」



俺は絃ちゃんと目を合わせることができないまま、話を続ける。