雨降り王子は、触りたい。





『……留衣くん?』

アヒル口の店員さん。



彼女を見た瞬間、三咲の顔色が変わった。

それに向こうも驚いた表情を浮かべていて。
三咲のことを知っているようだったし…。

今回の涙は、あの店員さんが原因?

だけど見ただけで、そんな…。



それは、ゲリラ豪雨みたいな涙だった。

突然の、それも大量の、雨。

三咲のグレーのニットにどんどん黒い穴を開けていくようで。

強い胸騒ぎを感じた。



…一体なにがあったの?



結局駅まで走ったものの、三咲の姿を見つけることはできなくて。

しばらく待っても会うことはできなくて。

私は力なく、帰りの電車に乗り込んだ。