「そ、そんなの…」 ……そんなの、全部。 全部知ってほしい。 三咲へのこの気持ちも、全部────。 だけど、まだまだ素直になれない私は。 「別にいーけど」 そっぽを向いて、そう言った。 「なんだよそれ」 いつも通り、ぶっきらぼうな言い方をする三咲。 …このまま時間、止まればいいのに。 空では気持ちよさそうに泳ぐ鱗雲が、私たちを見下ろしていた。