雨降り王子は、触りたい。





「……え」



信じがたい出来事が、目の前で起こって。

私は言葉を失った。

反射的に目を見開いたけれど、大きく開いた目で見たところで、やっぱりその光景は信じられない。



────じわっ…ぽとり。



不思議な色の瞳から透明の液体が滲み出て、それが三咲の頬を滑り落ちていったのだ。



な、な……

あまりの衝撃に、私はメガネを差し出した状態のまま凍りつく。

………涙!?

そんな私とは裏腹に、三咲の瞳は火がついたようにポタポタ涙を落としていく。