雨降り王子は、触りたい。




「ありがと、助かった〜」



支えられていなかったら、確実に転けてしまっていた。
おかげさまで段ボールも無事だ。

…だけど。

ぎゅっと私の腕を下から持つ市川の手が、離れる気配が一向に感じられなくて。



『留衣に嫉妬させたくて。』



いつか市川に言われた言葉を思い出す。

きっとこれも、わざとだ。
わざと、必要以上にくっついてるんだ。



「教室戻るの?半分持とうか?」



…首を傾げた市川の、頭の中がわからない。

本当にただの良心で言ってくれているようにも見えるし、

『これも作戦だから。』

あの日の市川もチラつくし。



どうしよう。
私が口を紡いだまま立ち尽くしていると。



────ひょいっ

突然荷物が軽くなって、視界が開けた。