雨降り王子は、触りたい。




よかった…怒ってなさそう。

だけどその優しさに、申し訳なさが増す。



「…駅のホーム。」



待合室を背中に立っている俺は、すっかりオレンジに染まった空を見上げながら言った。



『ふーん。絃ちゃんとはもうバイバイしたんだ?』

「っは」



バ、バレてた…!

思わず言葉が詰まる。

先に店に入ってったから、雨宮と抜け出したところ、見られてないものだと思ってたけど。

さすがチカ。なんでもお見通しらしい。



『……ねぇ、留衣』



もっと、揶揄われるんだろうなって身構えたのに。
イヤホンから響いたのは、神妙な声だった。



「…ん?」



俺はなんとなく、緊張しながら次の言葉を待つ。