雨降り王子は、触りたい。




…に、逃げよう!



私は立ち上がろうと、地面に手を付く。
すると。

─────カシャッ

手が何かに触れて、音を立てた。



…メガネ。

そこに落ちていたのは、細い銀縁の丸眼鏡だった。

もしかして三咲の?

私はメガネを拾い、膝で1歩進み三咲に近付く。



「これ…」



恐る恐るメガネを差し出すと、三咲はようやく顔を上げた。



「……!」



こちらを向いた三咲は、もちろんメガネをしていなくて。
露わになった顔の完成度は、想像以上のものだった。