いつも嫌だった。チカが雨宮に近付くと。
手を重ねたり、腕を引いたり…抱き締めたり。
平然と触れるものだから、その度に心が針で突かれたみたいに痛くなって。
触れられない自分が余計に嫌になった。
だけど雨宮もチカも悪くない。
全部、自分の体質のせいだ。
はぁ、と深く吐いた溜息が生温い空気に混ざっていく。
いつも通り言い合いじみたことをしていると、あっという間に駅に辿り着いた。
雨宮と話すのは、すごく楽だ。
ほとんどの女子が俺のこと、"王子"だなんて呼んで(正確にはチャラメガネ王子だけど)。
上目遣いで甘ったるく話しかけてきて。
そういうのがあるから余計に女子が苦手だと思っていたけど、雨宮は全くそういう感じじゃない。
だから、すごく楽。
一緒にいて、落ち着く。
