雨降り王子は、触りたい。




…今まさに、関わらないって決めたところなんですけど。



すぐにでもこの場を去りたいけれど、痛む腰がなかなかそうはさせてくれない。



なんでよりによって、三咲とぶつかってしまったんだろう。

きっとまた冷たい言葉を吐き捨てられる……そう、身構えるものの。



「…」

「…」



え、なにこの空気!?

さっきまで聞こえていた運動部の声さえも静かになって、痛いくらいの沈黙が流れる。



「…」

「…」



こちらに向いているのは、憎たらしいほどに透明感のある金髪頭のつむじ。
三咲はずっと俯いたままで、どんな顔をしているのかすらわからない。