雨降り王子は、触りたい。




「うわっ!!!」

「…っ!」



─────ドンッ!!!
カシャン…ッ



人とぶつかった大きな音と、何かが地面に落ちたような音が静かな空間に響いた。



…ちょうど、曲がり角だった。
ぼーっとしていた私は、勢いよくこちらにカーブしてきた誰かと思い切りぶつかってしまったようだ。



「っごめんなさ……」



こんなに綺麗に尻餅をついたのは初めてかもしれない。
痛む腰をさすりながら、顔を上げると。



「…げ。」



思わず声が漏れる。



目の前に見えるのは、見覚えのありすぎる金髪頭。
同じように尻餅をついているその人物は、頭頂部しか見えていないけれど、一瞬でわかった。

三咲だ。