雨降り王子は、触りたい。




「あー、もう!なんかむしゃくしゃする!!!」


放課後。
のえるが顔をくしゃくしゃにして、そう言った。
可愛い顔が台無しだ。

のえるをそうさせる原因は、なんとなくわかる気がするけれど。



下校時間の今、下駄箱には生徒がちらほら見受けられる。

この時間に帰るのは帰宅部だけで。



「海もありだけどプールも捨てがたいよね〜」

「とりあえず花火大会の日は空けといてよ!」



夏休みを来週に控えているからか、浮かれた会話が飛び交う。

そんな会話を背に、唯一負のオーラを背負っている私とのえる。

…嫌だな、夏休み。

そんなものがあると、三咲に長期間会えなくなる。

このまま気まずい状態で夏休みに入ったら、明けた時にはもう、前みたいにすれ違うだけの関係に戻ってしまうかもしれない。