「合コンとか論外だわ。連絡なんて一生返さない。」
のえるが、ドスの利いた低い声でそう言った。
普段くりっと丸いはずののえるの目は、キッと釣り上がって。
小さな手が握りしめるココアのパックは、ミシミシと音を立て形を変えてしまっている。
「俺約束とか破れないんだよ〜!」
「行こっ和佳、絃」
杉山の情けない雄叫びを無視して歩き始めたのえるを、私と和佳は慌てて追いかけた。
◇
ミーンミンミンミン…
窓の奥から聞こえるセミの鳴き声は、暑苦しさを増長させる。
教室へ戻ると真っ先にサイダーに口をつけたけれど、それはやっぱりぬるくなっていた。
黒板の横では時計の針がチクタクと音を立てて進んでいて、授業開始が近づいている。
