雨降り王子は、触りたい。




「それも、かなりの。」



アイツの話なんてしたくないけれど、それは聞き捨てならない内容だった。

私は無意識的に険しい表情になる。

アイツが、女嫌い…?



私に合わせて立ち止まった和佳は、続けて口を開く。



「なんか女子に話しかけられても絶対無視するらしくて」

「…うん」



たしかに私も今日、無視された。



「軽く肩に触れた子がもう、ものすごい顔で睨みつけられたらしい」

「へぇ…」



触れたことはないけれど、三咲はいつも不機嫌な顔をしていて。
かろうじて会話をした時に、こちらに向けられる目はとても鋭いものだった気がする。