雨降り王子は、触りたい。




自分たちの教室へ向かう途中。

居残りになってしまったことを愚痴り終えたところで、和佳は何かを思い出したかのように口を開いた。



「…そういえば。絃さ、聞いたことない?」

「何を?」

「三咲のこと。」



ピクリ、頬が反応する。

…もはや名前聞いただけで腹立つんですけど。



「三咲が…何。」



顔を歪めた私の背中を、和佳は落ち着かせるように撫でた。



「まぁまぁ、そんな顔しないで。…なんか聞いたんだけどさ、三咲ね、女嫌いらしいよ。」



え…

その言葉に、思わず足が止まる。