雨降り王子は、触りたい。




三咲の瞳には、じわじわと涙が溜まっていく。

ぽたり───零れた、その時。



「何やってんの2人とも〜」



落ちてきた和佳の声に、私はハッと我に帰る。

……なにがなんでも、三咲の涙を隠さないと。



「や、なんか…」



私はしゃがんだまま、辞書を拾い上げる。
そして素早く、裏の蓋を開け電池を抜き取った。



「………この辞書、電源付かなくて」



俯いたままの三咲の肩が、ピクリと揺れるのが視界の端に映る。

そんな三咲を隠すように私は立ち上がり、その隙に電池をポケットに押し入れた。



「電池ふっとんじゃったっぽい。探してから帰るから、先帰ってて?」



お願い、気付かないで……!