雨降り王子は、触りたい。




電子辞書を取り出した三咲がこちらへ近づいてくると、なぜだか縮まる距離と比例するように、心臓の動きが速くなる。



三咲が私の目の前で、足を止めた。

だけど心臓の速さは、ちっとも落ち着かない。



「ん。」



改めて真正面から見た三咲に、私は息を呑む。

………なんか、こんなだったっけ?三咲って。

髪、サラサラ。指、細くてめちゃくちゃ綺麗。

差し出された辞書の色が黒だからか、肌の白さが際立ってる。



「あ、ありがと…」


何だか目を見れなくて。

私は、粗雑に手を伸ばした。

─────すると。


…ピトッ


気が付けば、辞書を持つ三咲の手の上に、自分の手が重なっていた。