雨降り王子は、触りたい。




三咲は空いた席に座ると、こちらを見上げた。
かと思うとすぐに絡まった視線を解き、さっさとスマホをいじり始める。

え……え………?

質問に対するアンサーが、一向に返ってこない。

む、無視………!?



「ちょ、無視はないんじゃない?」



何事もなかったかのようにスマホをいじる三咲に、思わずポカンと口が開いてしまう。

しばらくその場に立ち尽くしていると、三咲は眉間の皺を深めて口を開いた。



「…はやく行けよ」

「はぁ!?」

「っていうか、」



三咲は大きな溜息を吐くと、冷めた表情で言い放つ。



「話しかけてくんな」



…開いた口が塞がらない。