「さーさーきーさーはーらーさーん‪!」



「…な、なに?」



でっかい声出さないでようるさいなあ



「パン。買ってきて?」



「えっそれは…」



「いいからっ。 買ってきて?ね?」



「う、うん。」



(またか。)



昔から地味でつまらない私はよくいじめのターゲットにされる。もう慣れた。
親も去年亡くして私の中は空っぽ。先生にも見限られてるのではないか、とまで思えてくる。生きる価値などあるのだろうか。



「優來ー!」



「なになにー?」



「みてこれー」



「すごー!えこれはー?」



(優來。)

幼なじみの彼女は顔立ちもよく人気者。正反対な私と幼なじみなのが嫌なのか嫌がらせをしてくる。


横を通り過ぎようとしたとき



「チッ」


(舌打ち。いや、舌打ちしたいのこっちやし)


ふざけるな。被害者ヅラすんな。
そんなことを堂々と言えるわけもない。そんな勇気私は持てない。いや、
逃げてる時点で持つ資格なんてないのだから。


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「…き、…さき、…佐々木!!」



「は、はい!」



「ぼーっとするなー!プリント取りに来い。」



「すいませんっ!」



「なんか疲れてるのか?あんまりぼーっとしてると怪我するぞー。」



「はい。すいません。」






(ああ。そうだパン。)



めんどくさいけど行くしかない。これくらいで済まされるのはまだいい方。でも生活費取られんのは厳しい。
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「…。でさーそいつが超ウザくて笑」


「早く別れちゃいなよー笑」


「いやいじんの楽しいから笑」



「うわあ最低笑」



なにあの会話。最低にも程ってもんがあるのに。



「あの、これパン。」



「あ?あぁ、もう食べたからいらん。あげるよそれ。ありがたく貰っとけば?」



(なんでこいつこんな偉そうなんだよ。何様やねん。自分の事女王様とでも思ってるつもり?!えっ、勘違い女?!たちわっっる!!!)



「お前顔うざ」



いつの間にか「こいつ何様」という文字が顔に出ていたようだ。



「わかった。じゃあもらうね。まあ、このパンも貴方の臭い口で食べられることなくて安心してるのか暖かいから美味しそう。」



(全然あったくないけど嘘ついとこ。てかなに暖かいから嬉しそうとかむりやりすぎたか。)



「はぁ?あんた今なんて言った?人のこと侮辱とか性格悪。かわいそ。」



(えっっこいつ口臭いこと言われたの気にしてんの?!てかいい匂いとでも思ってたの…?)



侮辱とかよく出来るわーってどの口が言ってるんだろ。てかこの人口臭うの自覚してないんだ。隣の友達は共感してるのかきれてる貴方に苦笑いしてっけど。



「もう少しで授業だから。」



「いやまてや」



めんどくさいなあ。逃げよ。



「鳴海〜」



この声…



「優來。」



「ねえ髪の毛にゴミついてるよ‪〜取ってあげる」



「えっ」



パシっ



その音が響いた瞬間頭に痛みが走る。



「え…?」



「騙されるとかまぬけすぎ‪。」



「優來今たたいたよね?」



周りがざわつく



「え、優來がたたいたってー?」



「まじ?優來がそんなことするか…?」



優來は急に目をうるうるさせて一言



「?…そんなことしてない。酷いっ…。取ってあげたのに…。」



(切り替え早っ。きもっ…!!男子にどんだけ嫌われたくないんだよ勘違い女…)



呆れそうだ。



「騙されるようなマヌケで悪かったね。」



「え…?」



確かに痛みが走った。音も聞こえた。



周りは音は聞こえたけど見て見ぬふりのようだった。



「ふはっ…」



今更すぎて笑える。誰も助けてくれるわけないじゃん。



そんなの、自分が一番わかってるくせに。



(人気者の言葉に流されるような中身空っぽのやつとか。チヤホヤされるの生きがいにしてるようなやつとか見てると寒気する。)



自分でも最低だと思う。でもこう思うことしか出来ない。こう思っちゃう。口に出さないだけまだマシなんだよな。



(いや、少しはだしてるかもだけどっ)



「うっわーぼろぼろだな」



(…え?)