それに『少し』って言い方はズルい気がする。
そんなの、乗ってしまうに決まってる。
「じゃあ……少しだけ」
松野くんは私の返答を聞いて、ニヤッと笑う。
まるで私が受け入れると分かっていたような反応だった。
「まずは着替えですね」
「うん、着替えてくるね」
上の階に行くと、まだクラスのみんなはひとつの教室に集まったままで、わいわいと楽しそうに騒いでいた。
今さらあの輪の中に入れる気はせず、こっそり着替えで使用していたとなりの空き教室に入る。
「まっ、松野くん⁉︎ダメだよ……!」
するとなぜか松野くんも入ろうとしてきたため、慌てて止めた。
一応女の人たちが使用しているわけで、着替えとかもあるからいろいろとダメな気が……。



