「いや、あの……松野くんって積極的に参加するタイプなんだなと思って」
「それで意外ってことですか……ひどいですね」
「ご、ごめんね?傷つけるつもりは……」
「まあ事実ですけどね」
「えっ?」
「少し前までの俺なら、ここまで積極的に参加してなかったと思います」
松野くんは、ふっと頬を緩めた。
柔らかな表情はどこか大人びていて、絵になるなと思った。
「きっと誰かに影響されたんですかね」
「そうなんだね」
松野くんに影響を与える人かぁ。
少し気になる。
「ふっ、想像通りの反応」
「え?」
「なんでもないです。早く着替えに行きましょうか」
「そんな、松野くんは教室に帰っ……」
「まだ先輩といたいです。少しだけ俺とサボりませんか?」
それは、どこか甘さを感じる誘惑だった。
じっと私を見つめる眼差しは優しくて、つい心が傾いてしまう。



