冷めない熱で溶かして、それから。



 ひとり焦っていると、松野くんが私の耳元でひそりと呟いた。


「先輩、階段の上で隠れててください」
「わ、わかった……!」

 松野くんのいう通り、私は階段を上って身を隠した。


「あっ、凪!さっき執事みたいな格好したやつ見なかったか?」

「あー、なんかすごい勢いで階段駆け降りてたぞ」

「マジか!そんなに本気で逃げられてたのか」
「ほらな、お前が変に追いかけるから。もう諦めろよ」

「そうだな……見間違いだってことにしとくか」


 男の人は追いかけるのを諦めてくれたようで安心する。
 それにしても松野くん、うそが上手だなぁ……なんて。


 助けてもらったくせにこんなことを思うのは悪いけれど、あんなとっさに嘘をつけるなんてすごい。

 それにさらっと言葉を口にしていた。