冷めない熱で溶かして、それから。



「あいつ本当にさ〜」
「ははっ、確かに……あれ」


 ふと、私の向かい側から歩いてくる二人組の男の人が私を見て立ち止まった。

 どうしたのだろうと最初は思ったけれど、すぐにその理由がわかった。


 私、いま……執事服だ!
 しまった……!

 本当はすぐとなりの空き教室で着替えてからクラスに戻らないといけなかったのに、うっかりこの格好のまま戻っていたなんて‼︎


「なんだあの格好?」
「本当だな。おーい、お前なんでそんな格好してんの?」

「……っ⁉︎」


 うそ……!
 普通、見知らぬ人に話かける⁉︎

 慌てて彼らに背を向け、来た道を戻る。


 ひとつ上の階にある空き教室に戻るため、階段を目指す。


「……わっ!」

 焦りのあまり前をよく見ずにいたからだろう。
 階段前の曲がり角で誰かとぶつかってしまう。