「……ここが電車じゃなかったら良かったのに」
松野くんは素直に離れてくれたけれど、それで終わらせてはくれない。
「ふたりきりなら、心置きなく先輩に触れられるだろうから」
まるで松野くんの瞳に囚われるような、そんな感覚がした。
どこか危なさが潜む松野くんの瞳から逃れられない。
「だから先輩も、嫌なら気をつけてくださいね?」
一応警告はしてくれるけれど、きっと松野くんは私を逃す気はない。
これからも私は、松野くんに振り回されるのだろう。
たぶん、松野くんが飽きるまで続くはずだ。
私で遊ぶことに飽きたら……その時点でこの関係も終わってしまう。
だから深入りしてはいけない。
今ならまだ後戻りができると思うから、これ以上は近づきたくない。
そう思っているのに、松野くんがそれを許してくれなかった。



