昔からずっといなかったわけではない。
 ただ、初恋の人との思い出が少し苦くて、好きな人や彼氏がほしいと思わなくなってしまったのだ。


「わっ、私の話より璃花子ちゃんの話が聞きたいな!最近彼氏さんとはどうなの?」


 璃花子ちゃんには年上の彼氏がいる。

 今も絶賛ラブラブのようで、他人の幸せな話を聞くのが好きな私は、璃花子ちゃんと彼氏さんの話をしてもらえるように仕向けた。


「芽依、いい加減前に進みなよ?男が全員クズってわけじゃないんだから」


 私の事情を知っている璃花子ちゃんの言葉が胸に刺さる中、一度だけ私は頷いた。

 わかっているけれど、無理に好きな人や彼氏を作る必要はないかなと思う。


 いつかまた、本気で誰かを好きになる日が訪れるのだろうかと思いながら、私は聞き手にまわった。