「あ、電車きましたよ先輩。行きましょう」
「待っ……」
松野くんは私の手をそっと包むように握った。
話を遮られてしまったけれど、電車におとなしく乗り込む。
けれど車内に入っても、松野くんの手が離されることはなかった。
なぜか私も、優しく握られた手を離そうとは思わなかった。
もう男の人とは関わらないと思っていたけれど……松野くんって不思議な人。
チラッと松野くんを見上げる。
結局、キスされた理由を聞けなかったな。
松野くんもわかっていなかったような顔をしていた。
もちろん本気じゃないのはわかっているけれど……かといって、遊ばれている気もしないのはどうしてだろう。



