冷めない熱で溶かして、それから。



 先に璃花子ちゃんが戻ってきたけれど、事情を説明して津田くんを待つ。


 少しして津田くんが戻ってきたかと思うと、流れるようにパンやジュースなどが入った袋を渡された。

 つい袋を受け取ってしまったけれど、これはなんだろう……?


「これ、ついでに凪に持っていってくれませんか?最近食欲もなさそうだったんで、俺からの差し入れです。意地でも食わせてやってください」

「松野くん、に……」


 もしかして津田くんは、私が松野くんの様子を見に行く前提で話しているのかな?

 私は行くって言っていないのだけれど……。


「神崎先輩が来てくれたら、あいつぜったいに喜びます。元気出ると思うんで!」


 キラッキラと輝く笑顔を向けられ、『行かない』という否定の言葉は口にできなかった。

 私なんかが行って迷惑じゃないかな……?


 けれど、倒れたという松野くんの体が心配という気持ちもある。

 体調が悪いのは無理して早起きしているせいかな……。