次の日の朝。
 私は信じられない光景を目にした。


「おはようございます……先輩」

 いつもの時間の電車。
 いつもの車両に乗ると、そこには……夏休み明け初日のように、松野くんの姿があった。


 今にも眠りそうなほど、まぶたが重そうだったけれど、私にはしっかりと挨拶をしてくれる。


「松野くん……⁉︎どうしたの、こんな早くに」

 今日も先生に早く呼び出されているのかな。
 昨日はそんなこと、ひとことも言っていなかったけれど。


「先輩の真似をしてみようと思って」
「私の真似……?」

「昨日、早起きの良さについて語ってくれましたよね」


 そういえば……朝が苦手らしい松野くんに、早起きの良さを話した気がする。