冷めない熱で溶かして、それから。



 やっぱり松野くん、私が目を逸らしたことを気にしている様子。


「ご、ごめんね……!反射的にっていうか、深い意味はないから気にしないで……!」

「……じゃあ今から一緒に帰りましょうと言ったら、受け入れてくれますか?」


 黒い瞳が私を捉える。
 なぜか今度はもう、その視線から逃れられないなと思った。


「でも……さっきの人たちは」

「俺につきまとっていただけなんで気にしないでください。帰るって言ってんのに、俺の話を無視して誘ってくるようなやつらです」


 少し不機嫌になる松野くん。
 松野くんは自分が中心にいることを嫌がっているのかな。

 それともただ早く帰りたかっただけ?


「そっ……か。松野くんこそ、私なんかと一緒でいいの?」

 実はひとりが好きだとか、その可能性もゼロではない。