これでも頑張ったほうなのに。
あまりにも男装が似合わないと言われ、最終的にカツラまで被った私。
これでいけるだろうと思っていたけれど……お客さんの反応を見るに、どうやらそれでもダメだったらしい。
これ以上どうすればいいの……。
璃花子ちゃんにはもう諦めなさいと言われてしまった。
「芽依の男、全然来ないね。もうすぐシフト交代だっていうのに」
「璃花子ちゃん、その言い方は……」
「合ってるでしょ?もうほぼ付き合ってるみたいなものだし」
「付き合ってないよ……!」
まだ付き合ってなんか……って、松野くんと付き合うかどうかもわからないのに、私はなに早まった考えをしてしまっているの!
私は……松野くんの彼女になりたいのかな。
自分の気持ちを自覚するのが怖くて、考えることを避けてしまっている自分がいた。
ただ、今はこの曖昧な距離がもどかしい。