次の日の朝。
 あんなことがあって、松野くんと平然と会えるわけがなく、私はまたいつもより早い電車に乗ろうとした。

 けれどまさか……。


「えっ……松野、くん?」

 松野くんが学校の最寄り駅のホームで待っていたときは、本当におどろいた。
 いつもの眠そうな表情ではなく、真剣な表情で私を見つめている。

「ど、どうして?」
「昨日のこと、謝りたくて」

「……っ」
「今日じゃないと、もう二度と先輩と話せなくなるような気がしたんです」


 正解でした、と続けて話す松野くんに対して何も言い返せないのは、たぶん図星だったからだ。

 一度壊れてしまえば、元通りの関係に修復するのはきっと思っている以上に難しい。