夏休みが明け、今日からまた学校へ通う日々が始まる。
朝が得意な私……神崎芽依は、今日も早起きをして家を出た。
いつも乗る電車の時間帯は、同じ学校の生徒がいないに等しく、比較的席も空いている。
けれど今日、いつもの車両に乗り込むと──同じ学校の制服を着ている見慣れない男の人が、席に座っていた。
「この時間に珍しい……」
明るい茶色の髪はパーマがかけられていて、耳にはシルバーのピアスがつけられている。
シャツのボタンも大胆に開けられていて、制服は見事に着崩されていた。
ちゃ、チャラい……‼︎
あれって校則違反にならないのかな……?
つい心配してしまったけれど、当の本人は目を閉じてスヤスヤと眠っていた。