これ、前にもなかった?
デジャブ?
「わかったから。指ささないで」
私はそっと紅葉の指を下ろして座るよう促す。
「だいたい、暴走族なんて今の時代いないでしょ。1980年代の話とかならわかるけど」
「それが今も暴走族があるらしいよ。そりゃ、昔よりはだいぶ規模が小さいけどちゃんとチームとかがあっていくつか残ってるんだって」
「………へぇー」
そんなもん?
なんか暴走族のこと詳しくない?
「紅葉、暴走族のこと、詳しくない?」
「え?まぁね。姉の影響かな」
「そういえばお姉さん、ヤンキーとか詳しかったね………」
あはは………と苦笑いがこぼれる。
紅葉には三つ上のお姉さんがいる。
なんでも、そのお姉さんは元ヤンらしい………。
だから暴走族とか詳しいんだとか。
「そう、そうなのよ………ほんとにどうかして欲しい………」



