ーブォン、ブォン……。
「いやぁぁぁ!」
必死に逃げてもおってくるバイク。太陽は私の手を強く握りしめ、力強く引っ張ってくれる。
………この感じ、前にもあった気がする。
誰かに追われて、必死で逃げる。もう少しで思い出せそうなのに、あと一歩のところで記憶が途切れてしまった。
『愛華ちゃん!』
………誰の声?
だんだんと遠のいていく意識。
あぁ、今、意識を手放したら……太陽に迷惑かけちゃう。
「愛華!しっかりしろ!ついたぞ!……ここで少し休んでいてくれ」
タイミングよく……というべきか、意識が朦朧とし始めた頃、目的地についたのかようやく走ることをやめた。
重たくなったまぶたをあげて周りをみてみると、目の前にはボロボロになったビル……いわゆる廃ビルのような場所にいた。
「はぁ、はぁ……た、い、よう……」
「大丈夫だから。ここで待ってろ」
太陽は私を座らせるとどこかへ行こうとする。



