あ、いた。
もう帰っているだろうなと思いながら向かった昇降口。だけど昇降口の壁にもたれかかってスマホをいじっている太陽を見つけた。
その姿を見るだけでほっとする。
泣いたのがバレないように一度トイレに行き、ハンカチを濡らして冷ました。
…………少しは腫れが引いたはず。
鏡でチェックをしてからもう一度昇降口に行く。
すると、
「お、愛華。図書当番終わったのか?」
私を見つけてニコリと笑う。
その笑顔に先程までの悲しさはなくなって、変わりにきゅんっと胸が甘く響く。
あぁ、太陽の笑顔を見るだけで落ち着く……。
「うん!ごめんね、おまたせ」
「いや、そんな待ってねーよ」
私は太陽に近づき、隣に並ぶ。
「今日も図書当番お疲れ様」
太陽は私を見ると満足そうに目を細め、大きな手を私の頭の上にぽん、とのせた。
大きくて、ゴツゴツした手。その手は私の頭を優しく包み込むように撫でてくれる。



