あの後は
出るに出られなくて朝を迎えてしまった



たぶん
拓斗はソファーで寝たんだと思う…

今日は出掛ける時間が
拓斗のほうが早くて、リビングに行くともういなかった。



冷蔵庫を開けると
昨日作ってくれた料理が入っていて
メモも貼ってあった。




-ごめんね。いつもありがとう-




私はチンして
朝ごはんに食べた。


やっぱり謝ればよかった
その気持ちで胸はいっぱいだった。



「今日………ちゃんと謝ろう」



優しい味がする。
朝からすごく幸せな気持ちになれた














私は帰りに
拓斗の大好きなものを作ろうと思って
スーパーで買い物をして帰った。



家に着くと明かりがついていた



「ただいま…」


家の中に入ると
私の大好きなカレーの匂いがした。



「拓斗……」

「おかえり!!待ってたよ〜」



昨日の事が無かったみたいに
いつもの笑顔で出迎えてくれた。


「あ……」



拓斗は私の手元を見ている



「えっと………
昨日、八つ当たりしちゃったから」


「同じこと考えてたんだね。
俺もなんだ…ごめんね」


「私も素直に謝れなくてごめん。」

「今日は俺の番ね!
明日それ、楽しみにしとくよ!!」

「うん。カレー?」

「キーマカレーだよ!!大好きでしょ?」

「大好き!!!!」

「準備するから、手洗っておいで」

「うん」




私は洗面所に行って
手を洗ってリビングに向かう


「座って座って〜」


拓斗はいつもの席に私を促す。


「カレーと今日は大好きな苺も用意しました!」


カレーの横の小さいお皿に
真っ赤な苺が並んでいる。


「いただきますしよ?」

「うん。いただきます」


1口スプーンにすくって口に運ぶ
今日の朝食べたご飯と同じで
優しい味がした。

鼻の奥が少しツーンとしてきた
多分目が潤んできてる…

必死に隠すために下を向いた

「めぐちゃん?どした?
美味しくなかった?」


慌てて拓斗が私の背中をさすってくれる


「ちがうの…美味しくて…
でも昨日の事思い出したら苦しくて」

「俺も同じだよ。
昨日はほんとにごめんなさい」



顔を上げたら私と同じ泣きそうな拓斗

「これで許してなんて思ってないよ。
でもさ一緒に暮らしてて、こんなにイライラしたり悲しくなったり嬉しい思いも共有出来るのって凄いと思うんだ。」


ティッシュを持ってきて
私に1枚差し出す


「これからもね
たぶん、イライラさせちゃうと思う」

「わたしもだよ…」

「二人で話して、解決して
ずっとずっと一緒にいられたらなって
俺は思ってる」


照れくさそうに頭をかいてる
耳は真っ赤


「拓斗…」

「仲直りのギュッしてほしいな」


私の目の前にしゃがみ
手を広げる


「ごめんね。拓斗ありがとう」


私は拓斗をギュッと抱きしめた
拓斗も私のことをギュッと抱きしめてくれた


「あとさ……
仲直りのキスしてもいいんだけど」

「それは調子に乗りすぎ!!
カレー冷めちゃう」



パッと離れると
私は拓斗の作ってくれたカレーを食べ始めた

チラッと横を見ると
私のそばで正座して
口を尖らせて拗ねてる


「今日だけだよ」


私はしゃがむと拓斗の頬っぺに
軽くキスをした。


「それで俺が足りると思ってるの?」


拓斗は私の顎を掴むと
顔を近づけて口唇にキスをした。


ニッと笑う拓斗
私は顔がのぼせそうなくらい
赤くなった


「これでも足りないけど
がまんするね」


いたずらっ子みたいな笑顔で
頭をぽんぽんと撫でられた


「次は頬っぺじゃなくて
ちゃんとココにしてね!」


口唇を指さして笑ってる


「ばか」

「ばかですよー
カレー冷めちゃうんじゃなかった?」


拓斗はもう椅子に座って
もぐもぐと食べている


ほんとにもう!!!
今度喧嘩したら家追い出してやるんだから
こんな悪魔!!!



心臓が何個あっても足りないわ…






明日は
とびっきり美味しいもの作ってあげよう。
喜ぶ顔が見たいから。