(短編)キスだけで我慢できるなら。

「まだしばらくはクビになりたくないので、あまり先生をいじめないでくださいね」


彼は私を見て苦笑いすると、すぐに視線をそらせた。


「いじめてなんていないじゃん」


「そうかなぁ、ほらそうやって僕を煽ってますよね?」


「暑いから、あおいでるだけだよ」


私はベッドに腰掛けながら足をぶらぶら動かしてスカートを指でつまんでパタパタしている。


涼しくなるように、あおいでいるだけ。


それを見てどう思うかなんて、先生の勝手だ。


「中谷さんは怖い物知らずですね」