(短編)キスだけで我慢できるなら。


あれ、私、今抱きしめられているの?


「僕も中谷さんのことを、ほっておきたいけど……出来ないんです」


いつになく真剣な彼の声を聞いたら、心臓が飛び上がりそうになった。


この状況が信じられなくて硬直した。


どうしょう、私震えてる。


「中谷さん、緊張してますね。大丈夫ですか?」


「してないっ、このくらい」


強がって言ったけと、目があうと顔が熱くなった。


先生の腕にすっぽりと包まれていた。


胸の奥がドクドクと早鐘を打っているみたいに騒がしい。


保健室の先生のくせに無駄に筋肉のついたたくましい身体。


それを感じるだけで頭がクラクラした。


「平気だもん、私」


「……」


「先生?」


「キスだけで我慢できる?」


「ふぇっ?」


「卒業するまで、あと1年か、キツいですね」