今日は、12月25日。クリスマスであり、幼い頃に僕を拾ってくれた大切な人の誕生日。

「ルーチェ!準備終わったよ。後は、クラルさんを呼んでくるだけだけど……」

ティムの言葉に、僕は「分かった!」と頷くと冒険者育成学校を飛び出した。

「……八咫烏!僕をクラル様の館まで連れてって!」

『承りました』

僕は大きくなった八咫烏の背中に飛び乗ると、空を飛んで館を目指す。

「……八咫烏。クラル様を連れて行くには、眠らせた方が良いかな?」

『……それは、主人に任せます。クラル様を眠らせるとなると、他の魔物を眠らせないといけませんが……』

「確かにそうだねぇ……でも、クラル様にバレないように準備してるから……眠らせた方が安心出来るかも」

そんな会話を八咫烏としてると、館の庭まで来た。上空から、庭の様子を眺める。高い場所から見てるからはっきりとは分からないんだけど、庭にはクラル様がいるような気がした。

「……ごめんね、クラル様……皆……」

そう呟いて、僕は杖を握り締めると呪文を唱える。次の瞬間、杖から飛び出した沢山の光が皆に当たって、次々と地面に倒れていった。

「……八咫烏、クラル様のところへ」

『はい』

八咫烏が庭に降り立った後、すぐに地面に飛び降りて庭で横になって眠ってるクラル様に近づく。