「メリークリスマス!」

僕が町を歩いていると、後ろから声をかけられて僕は後ろを向いた。

「……紫恩……おはよう」

肩まで伸びた、紫のグラデーションのかかった黒髪の彼が立ってて、僕は挨拶をする。

「おはよう、静弥。今日は、クリスマスだねぇ」

「そうだね。紫恩は、今からどこか出かけるの?僕は、家にいても暇だから図書館に行こうと思ってるんだ」

「……じゃあ、一緒に行こうよ」

紫恩の言葉に、僕は「良いよ」と頷いた。紫恩は僕の隣に来ると、僕の手を握る。

僕が紫恩の顔に目を移すと、紫恩は俯き加減で寒さからか恥ずかしさからか分からないけど、顔を真っ赤にしていた。

「……」

僕はふっと笑うと、紫恩の手を握り返す。

「……ほら、行こう」

僕は恥ずかしさを紛らわすように、紫恩の手を引いて歩き出した。

「……うん……」

僕と紫恩が歩いていると、冷たいものが当たって空を見上げる。

「……雪だ……」

「本当だ……今日、そんなに寒いんだ」

僕の呟きに、紫恩はそう答えた。冷たい風が吹いて、僕は「寒っ」と体を震わせる。

「あれ、静弥……マフラーしてないの?」

「うん。そういうの、付けるの苦手で……」