【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない

「ふふっ。榛名ちゃんらしいね。あ、ほっぺにアイス付いているよ」






親指でアイスを拭う。指に付いたアイスは舌で舐めとってニコッと依乃里の方を見た。





依乃里は普通なら恥ずかしいことを平気でやる昴を見て頬を赤く染めた。





「うん美味しいね。榛名ちゃん顔赤いよ?もしかして照れちゃった?」






「そんなことされたら女の子は誰だって照れます!先輩はもう少し考えてから行動してください」





分かっててやっているようにしか見えないよー。こんなのが続いたら貧血じゃなくても倒れそう。





「ごめんごめん。でも、俺がこんなことするのは榛名ちゃんだけだよ」




「え?」




突然の発言に言葉を失う依乃里。もしそれが本当なら自分の中にある昴への気持ちを伝えてもいいのか考える。







私、期待していいのかな?先輩が私を想ってくれている可能性が少しでもあるなら今ここで、気持ちを伝えたい。






覚悟を決めた依乃里は真っ直ぐ、昴の方を向いた。







「せ、先輩。私、先輩のことがす…!」






え………??






「ダメだよ」