【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない

先輩の声、終業式の時にも聞いたけど、電話だとやっぱり近くに感じる。





『後ろ見てみて』




後ろ?




振り返るとそこには昴の姿が。






「先輩……」





電話越しでも遠くで見つめているでもない。私のすぐ目の前に先輩がいた。






泣きそうになるのをぐっと堪えて耳からスマホを離す。昴も耳からスマホを離してブレザーのポケットにしまう。






2人は1歩ずつ近くに歩み寄り、会話ができるくらいの距離で止まった。





「近くにいたのにこんなやり方でごめんね。あれからどうやって話していいか分からなくて。電話なら声もかけやすいと思ったんだ」






「私も先輩に電話をかけるの躊躇っていたのでむしろ助かりました」





何度も謝ろうとして手に取ったスマホを手放しての繰り返し。






ずっと勇気を出せなくて目を合わせることさえ、躊躇ってきた。





「あのさ、明日予定ある?」





「え?」





明日は八雲くんと……。まさか先輩から誘われるなんて思ってもみなかった。





「クリスマスだから一緒に出かけようと思って。色々話したいこともあるし」